2019年7月24日、我が家の愛犬、当店の看板犬が1頭旅立ちました。

どこかに何か残したい気持ちと、何か皆さんのお役にたてばという気持ち、この子の生きた証し、単純に私が誰かに聞いて欲しいだけ・・・
なんだかわかりませんが、ここに書きます。



出会い・・・


生きているのが不思議な状態でもうすぐ14歳でした。
本当に頑張った。
強い子でした。
私の誇りで、自慢のパートナーです。

彼女と暮らすことになったのは、ブリーダーさんに「頂いた」からです。
病気だらけだったからで、頂いたと言うよりは、引き取った感じです。

今思えば、なめていたと言うか軽く考えていました。

以前は、ブームもあって仔犬を1か月で100頭以上も販売するお店で勤めていたので、全部見たことあったからだと思います。

お鼻が狭窄で手術が必要?
おへそのヘルニアが大きいので手術が必要?
お腹のソケイヘルニアも大きく手術必須
胸が異常に狭い
身体の発育が異常に遅い?小さい・虚弱
両足膝蓋骨亜脱臼手術要検討
心臓に少し不整脈

手術が必要だったり検討すべき問題がたくさんあるのですが、すごく小さく虚弱体質な上に心臓に問題があったので、手術はできませんでした。

何とか成犬になった頃で、3.2キロほどでした。
よく大きくなりましたが、普通のシーズに比べるとずいぶん小さいです。



やっぱり心臓が・・・


思った通り、全部大丈夫でした。
3年ほどは・・・。

一番初め調子を悪くしたのは「肺炎」でした。
原因は分からない、誤嚥性と思われる肺炎でした。
(肺水腫でなく肺炎)

近くのA病院で手に負えず、紹介された循環器・心臓の専門医もいる大きなB病院へ移りました。

1週間か10日ほど入院した1回目の「死ぬかと思った」です。
まだ両親と暮らしていましたが、お風呂でシャワーでごまかしてワンワン泣いてしまったのを覚えています。

死ぬかと思いましたが、まだ若いし乗り越えられる!頑張れって泣きながら叫んでいました。

しかも、この時に心臓の不整脈が極端に悪化していました。
正確に言うと、この時に悪化したのか、少し前からなのか、肺炎と関係あるのかないのか解りません。

「除脈」と言われるもので、5回中4回は空振りしています。
この子なら、1分間に150回程度のはずの心拍が、30回ほどです。

それでもなんとか頑張って乗り越えました。

肺炎は治ったのですが、心臓は変わらないので普通に意識があるのさえ不思議だ、生きているのも不思議、「いつ死んでもおかしくない」と言われました。

それでも私はなぜか全然大丈夫だと思ってました。
この子はこの心臓で生きていて慣れていて大丈夫、慣れて行けば大丈夫、だから頑張れ!




発作・呼吸困難


その後、2~3か月は大丈夫でした。
大したことないじゃないか・・・そう思っていたのに、やっぱりダメでした。

発作のような呼吸困難になりました。

「発作ような」と言うのは、呼吸がしにくく息が荒くなり、上を向いて呼吸をし、右へ左へ行ったり来たり・・・
めまいの酷い状態みたいな、狂犬病の末期のビデオみたいでした。すごく怖いです。

咳もひどく心臓が悪いと起こりやすい肺水腫も同時に起こしていて、かなり危険な状態です。
(この時は肺炎ではなく、肺水腫)


この発作のような症状は、12時間くらい続きました。
朝までず~っとハアハアしながら上下左右に頭を振り続けます。
一睡もできない状態です。

翌日お昼前に治まったかと思えば、またその晩に再発しました。

1日~2日おきに、夜から翌お昼前まで12時間程度も続くこの発作のような呼吸困難のような症状を5回起こしました。
最初は治まった時には少し食べたり飲んだりできたのですが、3回目4回目の時には、治まっても寝たきりでした。

入院して、心電図を24時間付けられたり、酸素室に入ったり、心拍をあげる薬を試したりしましたが、どのお薬も全く反応が無かったと言われました。

4回目5回目の発作時には、もう身体も弱って寝たまま頭だけ振ってました。
体重が1キロほど減って、ガリガリになってしまいました。

また、オッサンのくせにお風呂でワンワン大声を出して泣いてしまいました。
失いたくない!そんなの嫌だ!頑張れ!頑張れ!


寝たきりで意識を朦朧とさせながらも、そんな私に応えるように目だけは強く、「生きたい」「もっとお父ちゃんと一緒にいたい」「またみんなでお散歩行きたい」、この子のすごく強い気持ちはいつも感じました。



選択、決断・・・


1回目の選択だったかもしれません。

獣医さんからは、病院で発作中も何をしても治まらないので、強めの鎮静剤?だったか癲癇などのお薬だったかを使用してみないかと提案されました。
いずれにしても、このままでは危険だからです。
 
体温が低下し、脈が少なく、血圧もすごく低い、ギリギリで微妙なバランスで何とか生きているので、例えば強心剤も利尿剤も点滴も入れすぎると危険だが、このままでは死ぬ。
 
簡単に言うと、手に負えない、一か八かの治療をやってみるか、このままお家で看取るかの選択を迫られました。

本人は入院中も見舞いに行けば、何とか首をあげてかすかにシッポを振って喜びます。

「しーちゃん、じゃもう一緒に帰ろう・・・」


何もせずに連れて帰りました。
苦しんでもそのまま見守ろうと決心しました。

「次は死ぬ」そう覚悟もし、「安楽死」も頭にありました。

でも・・・
自宅で次の発作・呼吸困難はおきず・・・
そしてそのまま治まってしまいました。

すごい!頑張った!

この発作のような症状は、のちもずっと繰り返すのですが、毎回3~5回で治まるんです。

でもこの時は初めてだったので、いつまで続くのか解らない、いつ治まるのか解らないと言う中でしたから、一か八かの治療はせず、半ば看取るつもりで連れて帰ったのが偶然正解だったと思います。

しかも、諦めてお薬も飲んでないのに肺水腫も治ってました。

実は、治って欲しい思いが強くて、嫌がる薬を必死で飲ませていました。
なかなか飲んでくれなくて、私も「頼むから飲んでくれ」と泣きながら飲ませる始末・・・
すると、この子が私の顔を見ただけで嫌がるようになったんです。

悲しくなったのと同時にこの子だけでなく、この子を失う怖さのあまり自分の精神状態も壊れていることに気が付きました。

無我夢中必死になりすぎてたな・・・ごめんな、しーちゃん・・・

それでお薬はすべてやめてました。
その代わり、お互いの精神状態も良くないのが自分で分かったので、一緒にバッチフラワーを始めたり、この子の気持ちになって、この子の免疫力や治癒力を信じることそれをできるだけ高めること自分が心を決めてドシッとすること・・・

うまく言えないですが、それに対して何となくですが手応えとか自信に覚悟、それから今までなかった深い絆を感じました。
大丈夫!生きて行ける!

ほぼお家で看取る選択をしたわけですから、獣医さんにも「よく解らない」「不思議」「奇跡ですね」って言われました。

でもその言い方はなんだか冷たい言い方で・・・予防方も無く、おそらく再発すると告げられました。

頑張ったのに・・・未来はないのか・・・また苦しむだけなのか・・・



再び選択、決断・・・


体力も回復ししばらく普通に過ごせましたが、やはり2ヶ月ほどで再発しました。

この時、獣医さんに「心臓のペースメーカーを入れるしかない」、「そうしないと死ぬ」と宣告されました。
今、「犬 第3度 房室ブロック」って検索しても「救命はペースメーカー」としか出てきません。

この時が一番大きな決断だったと思います。

ペースメーカーはやめました。

本当になんとなくで根拠も何もないですが、心臓の先生のおっしゃってることは「なんか違う」と思いました。
うまく説明できませんが、今までこの心臓で生きて来れたんだから大丈夫、頑張れ!・・・

あと、「ペースメーカー」とか言う獣医さんで、いい先生に出会えなかったのかもしれません。
私がお店だから、格安で手術する?

おいおい「格安」って何?

この「格安」だったか「特価」だったかはずっと引っかかり、この時ペースメーカーを提案してくれた獣医さんは好きになれませんでした。
大変失礼ですが、ぱっと見はしーちゃんに頬ずりしてくれたりするのですが、どうしても実験台みたいな感じや、珍しく貴重だから手術がしたいみたいな感じが・・・

それだけでなく、うまく言えないですが、絶対に失いたくない・・・でも・・・犬と言う動物、こんな小さい動物、そこまでするのは正しいのか・・・
手術失敗も合併症もあるし、成功してもずっと心臓に機械・・・そんな大手術までして生かすのはどうなんだろう・・・この子はどう感じてどう思うんだろう・・・
もちろん、借金まで検討しなくてはいけない高額な治療費のこともありました。

「そんなことしなくても大丈夫」、「一緒に頑張ろう!」と言う気持ちと、このまま「看取る覚悟」も持てました。

ペースメーカーをすすめる心臓の専門医もいるB病院はやめて、昔からお世話になっている先生のいるC病院にかかることにしました。


この時も肺水腫や咳の症状もひどく、同じように発作のような呼吸困難を1日おきに5回ほど繰り返しました。
C病院に2日ほどは入院し、その後は通院しながら自宅で頑張って、2週間ほどでまた治まってしまいました。


なんとなく大丈夫と思えた、この子を信じたわけですが、この子の「生きる力」や「生きたい気持ち」、心臓・肺・血流血圧酸素・・すべてがギリギリの中で自分で調節しコントロールしてバランスを取ったんだと思ってます。


ペースメーカーではなく自力で。




3歳くらいまでは、ロン毛。
獣医さんって恐ろしく手入れをしてくれませんし、できません・・・。
ペースメーカーをすすめる病院をやめたもうひとつの理由ですが、入院中に見舞いに行った時に飲ませなくてはいけないお薬(錠剤)が二つも口の周りにの毛についていました。
確かにロン毛はだめで、食べないから強制的に栄養剤等を飲ませたようで、口の周りはグチャグチャでした。
でも薬くらいちゃんとやってよ。


入院を繰り返すようになってからは毛は短め。
入院してもえらいことになりません。