生きる!


ペースメーカーは入れないと決めましたが、やはり発作・呼吸困難は続きました。

毎回1度なると、1日おきに2~5回、1晩は眠れない発作・呼吸困難が続きます。
毎回ひどく痩せてしまいます。

最初は、入院することもありましたが、結局原因も「心臓からだろう?」ではっきり分からず発作を抑えることもその他できることもほとんどないので、自宅に酸素室設置して病院はできるだけ行かず自宅で看病です。

この子の「生きたい気持ち」は強く、そのたびに乗り越えます。

しかもこの発作・呼吸困難の起きる間隔が空いて行きました。

始めは数か月に1回、1年に1回、2~3年に1回と・・・

大変な時もありますし、失神してビックリすることもありますが、「2~3年ほとんど死にかけず」病院へも行かずに普通に平和に楽しくすごせる時もあります!

「ペースメーカーを入れないと死ぬ」はずが、入れないで生きてます。

どんなに苦しくてもいつも目がすごくて・・・・すごい力を感じます。
「生きるんだ!」「またお散歩行くんだ!」「お店するんだ!」


生きるためにどうすれば良いのか・・・・
お薬や病院は最低限にし、ゴハン、サプリ、そのほかこの子の持っている力を最大限にするために、常に考え観察し、一緒に頑張りました。

相変わらず、心臓は1分間に30回程度しか動いていなくて、普通じゃありえない・・・
生きているのが不思議ちゃん。



ソケイヘルニアからの腸閉塞・・・店長逮捕?


実はもうひとつやっかいな問題が起こり始めます。

ソケイヘルニアです。
人で言う脱腸ですね。

何かの拍子にお腹の足の付け根あたりでゴルフボールくらいゴボッと出てきます。

大きく出るから問題と言うこともないのですが、入らなくなったり腸閉塞になるんです。
普通なら手術ですが、この子の心臓ではできません。


ついに腸閉塞でショック状態になり、緊急を要する危険な状態になりました。
手術はできないので、獣医さんが外から指で少し引っ張ったり捻じったりしながら少しずつ時間をかけて押し込んでくれました。

この時は、ギリギリセーフです。

でもこれも手術しない限り繰り返します。

ある日、かなり危険な状態になってしまいました。
病院の診察時間もギリギリ、この子の状態もギリギリ・・・

車で猛ダッシュです。

案の定・・・パトカーに・・・

信号無視です。
「絶対に事故るな」「焦るな・落ち着け」「事故るとこの子は死ぬ」とずっと声に出しながら、右左前後しっかり確認しながらで、信号無視も無茶苦茶な信号無視ではなく、黄色から赤へ変わる時に、普通なら止れるタイミングですが「行っちゃえ」と言う感じでした。

事情を説明し、あとで出頭するからと必死でお願いしましたが、やはり無理でした。
この子の状態も見てくれず、キャリーを覗くことも犬がいることを確認することもありません。
悔しくて悔しくて・・・恥ずかしながら・・・まあまあごねてしまいました。

仕方ないですが、それでもお巡りさんの顔も名前も今でもはっきり覚えてしまっています。

あきらめて手続きをし・・・確かに5分か10分程度でしたが私がごねた時間もあり、病院の診察時間は無理・・・何よりこの子を見ると状態が良くありません。

「このままでは死ぬ」

自分でするしかないか・・・
獣医さんの手付きを思い出し、触りながら感触で出ている腸の形と穴の場所、ゆっくり少しずつ・・・でもある程度圧力も必要で、どこまで力を入れていいのか・・・

かなりショック状態で・・・やるしかない、どうせ繰り返すし自分でできないといずれ死ぬ・・・

うまくいきました。

お巡りさんのおかげで、その後コツをつかんで、自分で治せるようになりました。
生理のあとは筋肉も緩む?みたいで、生理のあとには毎回しかも何回もなります。
タブン、そこらへんの獣医さんより、ずっとうまいです。

しーちゃんと神様が、自分で治せるように事故らないように導いてくれたんだと思います。

あともう一つうまくできた理由としては・・・ちょっと恥ずかしいですが・・・
私自身が子供の頃からソケイヘルニアがあり、大人になるにつれ徐々に悪化し、この数年前に手術しているんです(笑)
私の場合は腸閉塞等にはならず、出たり手で押せば入ったりで・・・自分の身体と手でその感覚を知っていました(笑)


徐々に悪化・・・限界が見えてくる


相変わらず、心臓は生きているのが不思議、毎日が奇跡な状態です。

時々発作・呼吸困難を起こしても、あの必死の目で頑張って乗り越えます。
ヘルニア(腸閉塞)も含めて、何回「死ぬかと思った」か解りません。

毎日・毎回の奇跡、ペースメーカーを入れないと死ぬはずの命は、続いて行きます。

「奇跡」と言っても、もう「この子が特別」とは思わなくなりました。
皆さんも一緒です。どの子も一緒、この子も一緒。

私のところへ来てくれた、毎日一緒に暮らせる、生きている、幸せ、それだけで「みんな奇跡」です。

奇跡とこの子の生きる意志が、心臓や肺をギリギリで何とかバランスをとります。

それでも年齢とともに、限界が見え始めました。

心臓がすごく肥大してきて、気管を圧迫して咳もひどくなってきます。
この心臓で何とか生きようと、一生懸命ゆっくりゆっくり1回1回「ドックン!ドックン!」を繰り返すので、どんどん心臓が大きくなるんです。
心臓の弁は二つあるのですが、両方とも傷んできて逆流しています。
雑音も日に日に大きくなります。

血圧も異常に低く、時々立ちくらみのように倒れたり失神することがだんだん多くなってきました。

除脈もややひどくなり、不安定になってきます。

時々倒れたり、意識を失ったり朦朧としたり・・。
パタって倒れたりするたび・・・「え?死んだ?生きてるか?」は、慣れてしまうくらいになってきます。



それでも幸せ・・・もっと幸せ


「可愛そうだね」って言う人がいますが、それは間違いです。

うまく言えないですが、少なくとも私とこの子は全然可愛そうではありません。

ほぼ毎日24時間一緒で、一緒に頑張っています。

獣医さんにはお散歩やお出かけはひかえるように言われますが・・・
そんなのはほとんど無視です。
例の信号無視と一緒で、しっかり安全確認しながら獣医無視。

この子のことは、この子自身と私が一番解るんです。

何回も死にかけて、そのたびに死ぬほど苦しくても、「まだまだ一緒にいたい」

そして乗り越える、また一緒になれる。
だから毎回毎回もっと幸せになる。

普通の子より大変で、ものすごく手もかかり、医療費も恐ろしくかかるけど、
普通の子より手をかけさせてくれるし、この子のために働けるから私も幸せ。

それができるから我が家に来たんだし、私に特別なものを届けてくれたからお互い幸せ。

だから何回死にかけても一緒に乗り越える!頑張れ!

乗り越えるたびに、もっと幸せになれる、もっと絆が深くなる。
お互い信頼もでき自信もつく!

生きられる!ペースメーカーなんかなくても二人ならまだまだ生きて行ける!


それにこの子がくれた経験で、今では美容室でも老犬ちゃんは聴診器で心臓はチェックできるし、
抱っこしただけで体温もだいたいわかるし、雑音がひどくなるとそれも抱っこだけで解ります。

可愛そうじゃない、お互い特別幸せだ!

老いも病気も嘆いたり悲しむものではない。
しーちゃんは、与えられた条件で必死で生きる。生き続ける。
いわば「成長」だ。

天国のしーちゃん!
いろいろあったけど、全然大丈夫やで!
一緒に頑張って「一緒に成長」できた。
これからの人生、犬や猫、飼い主さんのためにいいサポートができる立派な人間になるよ。

ホンマにお父ちゃんとこ来てくれて、ありがとうな。



もっと写真を撮れば良かった・・・
40も過ぎたオッサンでしかも超アナログ・・・写真がない・・・




紙を丸めたボールをぐちゃぐちゃにするのが趣味でした(笑)
よ~く見るとマナーベルトのようなものしているのですが・・・
これは何とかソケイヘルニア(脱腸)を防げないかと、裁縫道具をそろえてオッサンが必死で試行錯誤して作った脱腸ベルトです。
残念ながら、いいものは作れませんでした・・・。