食事の在り方・・・総合栄養食かどうかって微妙です。

お客様から時々あるお問い合わせに「総合栄養食かどうか」と言うものがあります。
特にウエットフードですね。

皆さんよくお勉強なされていて、「犬猫が必要とする栄養を満たしていて、毎日の主要な食事にして大丈夫か?」と言うことです。

でも微妙でお返事が難しかったりするんです。
本当はね。

「主食にして大丈夫か?」には答えることができても、「総合栄養食かどうか?」は微妙だったりします。


よく似た言葉に「コンプリート食」とかコンプリートフードって言うのがあります。


「コンプリート食」とか「総合栄養食」って言うのは、どちらも「主食にして大丈夫です」って言うことです。

消費者様も混乱させますし・・・なんだか国まで絡んだ妙な大人の事情?をも感じるのですが・・・

「コンプリート食」って言うのは、FEDIAF(欧州ペットフード工業連合)が定めた栄養基準であり、言葉です。
カタカナではフェディアフって言います。

「総合栄養食」って言うのは、日本ペットフード公正取引協議会って言う日本の任意団体が定めた基準で、言葉です。
でも日本ってそんなに進んでいなくて、この基準は、AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準を採用したものです。
カタカナでアフコとかアーフコって言います。


ヨーロッパの基準かアメリカ(日本)の基準かと言うことで、どちらが良いかと言うものではないです。

でも・・・日本はアメリカよりで、プチアメリカ、アメリカの真似ばかりです。
皆さんも日本ペットフード公正取引協議会とかAAFCOのほうが馴染みがあって信用できるのかも・・・。

なじみは薄いかもしれないですが、FEDIAF(フェディアフ)やコンプリート食(コンプリートフード)と言う表現や言葉も、総合栄養食やAAFCO(アフコ)と同等だと思います。


なんだか微妙?なのは、「ペットフード安全法」って言う日本の法律や、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」って言う日本の表示のルール
があり・・・
そこには賞味期限や原材料の他、「ペットフードの目的」、つまり「総合栄養食」かどうか(アメリカの基準に沿っているかどうか)、そのほかは「一般食」とか「副食」と記載することになっています

「ペットフード安全法」は法律で、主に5つの表示義務があります。
名称、原材料、賞味期限、事業者の名称、原産国(最終加工国)です。

目的について「総合栄養食」「一般食」「副食」の記載は、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によるもので、義務ではないです。


目的(総合栄養食や一般食)に関しては、農林水産省HPにこのように記載されています。
公正取引委員会及び消費者庁の認定を受けた 「ペットフードの表示に関する公正競争規約」で、 ペットフード安全法で義務付けられている5つ以外に、 目的、内容量、給与方法、成分も表示することになって います。
ペットフード公正取引協議会の会員はこれらの項目も表示しています。



なんか??ですよね。
日本の法律や日本の表示のルールが、総合栄養食=アメリカの基準をクリアしているかどうかを表示するべき?、ヨーロッパの基準は無視?
お金(高い入会金や年会費)払ってペットフード公正取引協議会の会員にならないと「総合栄養食」と表示できない?


ちなみにペットフード公正取引協議会のメンバーって、ユニ・チャームとかライオンとかアイリスとか・・・ホームセンターに並んでいるようなフードメーカーがほとんどです。

だから、例えば当店取り扱いならテラカニスは・・・
FEDIAF(欧州ペットフード工業連合)が定めた栄養基準をクリアして「主食にしても大丈夫」でも、「総合栄養食」って表示することができません。

ですから、表現する言葉は「コンプリート食」で、パッケージには「一般食」と記載しています。

「一般食」は、日本の法律やルールでは「おかずタイプ、総合栄養食と一緒に与えてください」になっちゃうのですが、テラカニスは主食にして頂いて大丈夫です。

「主食にして大丈夫です」と答えることはできても、「総合栄養食です」と答えるのは微妙です。
パッケージに「一般食」と表示していますし。

当店でしたらシシアは「一般食」で、同じ一般食の表示ですが、おかずタイプですから他の主食タイプと一緒に使ってください。

と言うように・・・公正取引協議会では、消費者を混乱させないガイドラインみたいなことですが、混乱しますよね。

ドライフードでも同じで、当店取り扱いで例をあげると、フォルツア10のドライフード。
イタリア製です。
パッケージには・・・
「FEDIAF(欧州ペットフード工業連合)が定めた栄養基準に沿っており、本品とお水だけで健康に生活できます」
・・・と記載されています。
主食にしてお水とフードだけで健康に生活できますが、総合栄養食と表示していません。
ドイツ製のハッピードッグやハッピーキャットも「総合栄養食」とか「AAFCO」の表示はございませんが、主食にして頂いて大丈夫です。


私個人的には、どちらが良いと言うことは無くても、どちらかと言うとヨーロッパの方が上?、少なくとも劣っているとは思いません。
お客様からのお問い合わせで、とあるヨーロッパメーカーのウエットフードが「総合栄養食かどうか?」聞いてみると、メーカーから届いた返事は「我々の方が優れている」でした。

海外のメーカーに問い合わせるのも難しく、総合栄養食と言う言葉をどう英語やドイツ語にして問い合わせるか、どうとらえるか、微妙です。
水とフードだけで大丈夫か?主食にしてOKか?なら、OKになっても、アメリカのAAFCO(米国飼料検査官協会)の基準をクリアしているか?と尋ねると別です。

少し詳しく・・・
FEDIAF(欧州ペットフード工業連合)が定めた栄養基準と、AAFCO(米国飼料検査官協会)を比べてみますと・・。
FEDIAFが定めた栄養基準は、欧州でペットフードに準拠すべき基準として定められたもので、ヨーロッパでは多くのメーカーがこの基準に従って製造しています。
タンパク質や脂質などの基準はほとんど同じです。
ビタミンやミネラルに関してはちょっと違います。
FEDIAFでは、「動物性たんぱく質は、人間用の食品基準を満たしている処理・流通した肉だけ」とされています。
でもAAFCOでは、素材の品質やグレードには基準が無いため、タンパク質も上質な動物性のものもあれば、植物性タンパクを多く含むものもあります。


あと・・・

アメリカでもヨーロッパでも、AAFCOやFEDIAFなど基準はあるのですが・・・日本のルールや皆さんとは少し違って、日本はちょっとおかしな方向に行っているように思います。

数字や%など栄養素の基準にとらわれると・・・ビタミンやミネラルなど成分調節すればなんでもいけちゃいます。

古いですが有名な話では10年以上前に、アメリカで古タイヤを溶かして成分調節し、AAFCOをクリアしたタイヤの動画があり話題になったそうです。

日本では、私の嫌いな「ち〇~る」でも総合栄養食です。
あれが総合栄養食?あれとお水だけで大丈夫?って言うか、個人的にはあのニュルニュルが総合栄養食だとかどうとかその概念が分からないです。

病気したり歳をとって、「これしか食べない」と言うように理解納得できることもあります。

でも、健康な子ですと、そこにすごくこだわるのに、オヤツ大量に与えたりすると、各栄養素の基準は全然守られていないです。
失礼な言い方ですが、海外に比べてすごく遅れていて全然栄養バランスを全然気にしない日本人が、一番栄養バランス(表示)にこだわっているように思います。

日本の法律やルール(安全法や表示に関する公正競争規約)に従って?・・・
当店自慢のテラカニスやドライフードならハッピードッグやハッピーキャットは、総合栄養食の表示はなく、「総合栄養食と一緒に」と解釈すると・・・
私の嫌いな「ち〇~る」が総合栄養食ですから・・・テラカニスやハッピーにち〇~るを混ぜなくてはいけなくなります。
総合栄養食の表示がないテラカニスやハッピーより、ビタミンやミネラルを調節したあのニュルニュルした液体の方が栄養バランスが優れていることになってしまいます。

公正取引協議会や農水省のHPをみると、そうなってしまう人がいてもおかしくないわけですから、もう無茶苦茶です。


そもそも、アメリカや特にヨーロッパでは、「お水とそのフードだけで大丈夫」と言う概念があまりありません。

AAFCOやFEDIAFなど基準があっても、日本の総合栄養食(お水とそれだけで大丈夫)とは少し違うように思います。
人間の食文化に近いと言うか、「いろいろバランスよく食べよう」と言う感じです。

ドライフードだけで済ませることが少ないです。ないですって言ってもいいかもしれないです。
ウエットフードやお肉などトッピングします。

日本のお客様も、ある意味ドライフードだけで済ませることは無いです。
でもウエットやトッピングより、オヤツです。
以前にもお話しましたが、オヤツがフードの10%を超えるようでしたら、総合栄養食のバランスではなくなってます。

日本全体でも当店でも、オヤツの売り上げが減って、もっとウエットフードや当店でしたら冷凍馬肉なんかの売り上げが増えると嬉しいです。
皆さんも、オヤツにかけるお金より、食事(ウエットフードなどトッピング)にお金をかけて欲しいです。

食事(ウエットやトッピングも含む)よりもオヤツの方がお金がかかっている方も多いですが、異様だと思います。心配です。
人間に置き換えて頂ければわかると思いますが、主食の食費よりもオヤツにお金をかけている方ってあまりいないと思います。

美味しくない食事(ドライのみ)にして、美味しいいオヤツを与え、しかも栄養バランスを乱すより、美味しい食事(ドライにウエットやトッピング)で栄養バランスを整えて欲しいです。



表示に関しては、世界中で統一するのは大変難しいと思うのですが、ドイツをはじめヨーロッパの国やブランド方が安心安全で信頼している当店としては、なんだか不満です。

日本の「ペットフード安全法」や農林水産省HP、「ペットフード公正取引協議会」のルールなんて完全にプチアメリカです。

しかも総合栄養食の表示や数字や%にこだわると、テラカニスやハッピードッグ&キャットよりも、ち〇~るの方が優れている・・・みたいにとんでもないことになりかねないです。

ヨーロッパのように「いろいろなものを食事としてバランスよく食べよう」になって欲しいです。

日本では、ペットフード安全法も表示に関するルールも失礼ですが皆様も、まだまだ「エサ」だと思ってしまいます。

もし興味を持って頂いた方がいましたら、農水省やペットフード公正取引協議会に電話してみて、FEDIAFやAAFCOについて質問してみてください。
これを最後まで読んでお頂けたなら、担当者よりお客様の方がペットフードに詳しく、エサと食事の在り方とくらいのズレ?を感じるのではないでしょうか・・・。